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Zeus: Dataiku Cloudで製造工程をアップデート

Zeusは高度な分析を利用してビジネスバリューを高め、歩留まりの改善や在庫量の最適化を実現しながら、スピードと効率を向上させるミッションに取り組んでいます。

2週間以下

モデルを実稼働させるまでの期間(Dataiku導入前は16~20週間)

数百万行

1日に生成される製造データ

 

Zeusはフッ素ポリマーの押出成形を得意とするメーカーで、同社製のチューブは医療用カテーテルをはじめ、さまざまな救命医療機器に使われています。同社はソリューションの提供、イノベーションの実現、人々の生活の向上をミッションに掲げ、それを実現する手段として、分析ツールやAIの活用を進めています。Dataikuを導入する前は、1日に数百万行単位で生成される製造データを十分に分析できず、インサイトを入手するのが困難でした。データサイエンティストの人数が限られていたこと、またコーディングが必要なツールしかなかったことが原因です。

この状況を変えるために、分析・AIチームはDataiku Cloudを導入し、分析ツールの活用と分析の価値向上に取り組みました。現在では、全社レベルの分析プロジェクトを展開し、加工技術者からオペレーター、工場長にいたるまで、製造バリューチェーン全体にまたがる強力なコラボレーションと可視性を実現しています。

データチームと製造チームがこれほど密に連携し、クロスコラボレーションを行っているのは、Zeusの史上初めてのことです。

価値実現への道:歩留まりの改善と在庫量の最適化

Zeusのポリマーチューブは重要な医療分野で利用されており、厳格な品質検査を受けています。チューブの製造プロセスにはさまざまな変動要素が関わっているため、かなりの割合で不良品が生じます。

データサイエンティストの数は限られているので、1日に数百万行単位で生成される製造データを活用するには何らかのソリューションが不可欠で、それを実現できる強力なパートナーを探す必要がありました。

そこで選ばれたのがDataikuです。ZeusはDataikuをパートナーとして、不良品を減らし、歩留まりを改善させる取り組みに着手しました。現在では、製造装置とSCADAシステムから自動生成されるデータにもとづいて、フェーズIIの製品ごとに最適な機器設定を推奨する仕組みを構築し、不良品の発生を減らしています。

さらに、Dataiku Cloudを利用することで、プラットフォームの運用と管理をDataikuに一任し、データサイエンティストがユースケース開発に専念できる環境を実現しています。

Zeusは関連するすべてのステークホルダーを巻き込み、データ分析を全社に広げる活動を進めています。このユースケースは、製造プロセスに関わるさまざまなチームメンバーに影響を与えます。以下に例を示します。

  • チューブ製造を担当するオペレーター。製造現場とデータチームの間でリアルタイムの情報を共有し、作業を効率化する。
  • 工場長。この新しいデータモデルを製造プロセスに組み込み、部品製造ラインを効率よく稼働させる。
  • オートメーションエンジニアリングチーム。モデルに必要なセンサーデータをもたらす適切なソフトウェアを提供する。
  • 現場監督者。最適化されたモデルに同意するかどうかを検討し、必要に応じて助言する。
  • プラントオペレーション担当者。このモデルを承認することで、適切なプロセスやドキュメント化を確実に完了させ、当たり前の基準にする。
Dataikuのような、予測用のモデリングとアルゴリズムに特化したプラットフォームを利用することで、プロセスの効率が高まりました。 Joe DelPercio氏 Zeus、データ・分析・AI担当リーダー

以前は、データサイエンスモデルを実稼働させるまでに16~20週間(4~5か月)ほどの時間がかかっていました。それが今では、Dataikuのおかげで数週間にまで縮まりました。Dataikuを導入する前は、Zeusのコーポレートマテリアル管理チームは手動のソリューションを使って在庫計画チームと連携し、在庫量の最適化を図っていました。Dataikuの導入によって、ほぼリアルタイム(15~30分ごと)に動作するモデルを構築することが可能になりました。ただ、これはほんの序の口です。

難しいのは、今在庫にある製品の物理寸法と特性には一致するものの、長さや梱包方法などの可変要素がある新規注文が来たときの処理です。今ではDataikuを利用することで、受け付けた注文に見合う手持ち在庫をZeusの全拠点のなかで探せるようになりました。これにより、全体の在庫量を減らしながら、新しい注文にすばやく対応できるようになり、処理時間の短縮と費用の節約につながっています。

Zeusは、純在庫(上記のような調整を必要としない処理)はプロセスの効率化と顧客対応の迅速化の第1段階であると考えています。調整処理を数値化できれば、これらの指標はより重要な意味を持つようになります。

Dataikuは接着剤のような役割を果たしています。 Joe DelPercio氏 Zeus、データ・分析・AI担当リーダー

Dataikuで分析の活用範囲を拡大

Zeusの歩留まり改善と在庫量最適化のユースケースでは、データ入力とデータ出力(時系列に沿ったプロセスデータとオペレーターデータの混合)をDataikuに読み込んでモデルを構築し、そのモデルから得た出力を製造現場の適切なステークホルダーに提供しています。この出力は、複雑なデータサイエンスモデルそのままであってはなりません。分析・AIチームは、モデルから得た知見を一般的な言葉で製造装置のオペレーターに伝える必要があります。その目的に役立つのが、同社のBIプラットフォームと、Dataiku Cloudのダッシュボードとデータ視覚化ツールです。

その他にも、Zeusは以下の点をDataikuの差別化要因と見なしています。

  • What-if分析により、技術系ユーザーと業務系ステークホルダーの両方がモデルの動作を深く理解できる。これは昔ながらのプロセスに慣れたZeusのオペレーターやオートメーションエンジニアにとって有効で、モデルに対する理解と信頼を深め、全体的な説明可能性を高めることに貢献している。
  • スピーディなプロジェクトイテレーションにより、まず1つの製造装置から導入を始めて、別の製造装置や製造現場へと拡大できる。これはZeusが将来に向けて非常に重視している要素。
  • データの前処理とクリーニング、とくに統計分析や分布に対応している。
大事なのはチームとしての活動です。AI活用を成功させるには、チームとコラボレーション、そしてDataikuのようなプラットフォームが必要です。Dataikuは理想のプラットフォームです。 Joe DelPercio氏 Zeus、データ・分析・AI担当リーダー

Zeusの分析とAIの将来像

Zeusの分析・AIチームは、今後もさらに分析の基礎を強化し、MLOpsプロセスの最適化を続けていきたいと考えています。社内のさまざまなエンドユーザー(工場長など)の支持とフィードバックを集めることも、重要な優先課題の1つです。Zeusは将来的に、データの民主化を実現するつもりです。そのために、全体的な作業効率を高めるデータモデルを、マーケティングや需要計画から、ワークフォース分析、サプライチェーンまで、あらゆる部門の業務に組み込むことを計画しています。そして、確かな基盤を構築したうえで、生成AIと大規模言語モデルの導入に進む予定です。

動画を視る
Hear from Joe DelPercio in a behind-the-scenes client testimonial from Everyday AI Chicago 2024.