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Solvay: 製造コストをリアルタイムにモニタリング

SolvayはDataikuを利用して、6工場の炭酸ナトリウム製造プロセスをモニタリングすることで、製造コストとエネルギー消費を削減し、持続可能なビジネスへの道を進んでいます。

1月

1つの工場の炭酸ナトリウム製造ダッシュボードのベータ版を開発するまでに要した工数

6工場

炭酸ナトリウム製造ダッシュボードを現在利用している工場の数(さらに増加予定)

1時間ごと

炭酸ナトリウム製造ダッシュボードがリアルタイムのインサイトを生成する頻度

 

Solvayは、Soda Solvay®ブランドで知られる炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム製造のグローバルリーダーです。同社の製品は、ガラス産業から洗剤、冶金プロセス、パルプ・製紙、医薬品業界の栄養補助食品まで、幅広い分野で使われています。製造は同社の重要なビジネス活動であると当時に、最も多くのエネルギーを消費するプロセスであり、エネルギー管理の面で複雑な意味合いを持っています。

世界各地の顧客に製品をスムーズに供給するために、炭酸ナトリウム製造工場はさまざまな地域に分散して設置され、各工場の生産計画は中央の販売・操業計画(S&OP)チームによって決定されています。S&OPチームは、各工場の変動コストの予測とロジスティクス上の制約にもとづいて生産割り当てを決定します。

Solvayのエネルギー技術チームは、Dataikuを利用して、S&OPチームが炭酸ナトリウムの製造コストと二酸化炭素(CO2)排出量を1時間ごとに算出し、最適化された計画シナリオと比較できるソリューションを構築しました。このソリューションは炭酸ナトリウムの製造プロセスの改良につながり、製造コストとエネルギー消費を削減して、同社の成長と持続可能なビジネスを推し進める結果になりました。実際のソリューションの詳細を見てみましょう。

課題

Solvayのエネルギー技術チームは、ソリューションの構築と実装にあたり、さまざまな課題に直面していました。

技術面の課題は、この化学プロセスが複雑で、エネルギーを大量消費することです。また、エネルギー市場は変動が激しいうえに、契約の仕方や分類法は国ごとに異なります。さらに、設備機器の構成はCO2排出量に大きな影響を及ぼします。

しかし、技術面の課題に加えてエネルギー技術チームを悩ませたのは、人とプロセスに関する課題でした。例えば、このプロジェクトの要件定義と開発にあたっては、業務チーム、データサイエンスエンジニアリングチーム、設備管理チームとのコラボレーションが必要になるため、ステークホルダー管理にかなりの手間がかかります。さらに、このプロジェクトが会社にとってどれだけ重要かを考えると、ソリューションの堅牢性に妥協はできませんでした。

ソリューション

Solvayのエネルギー技術チームはDataikuを利用して、随時変動する炭酸ナトリウムの製造コストとCO2排出量を工場別に算出するソリューションを構築しました。このプロジェクトは、現在も6つの工場で1時間ごとに稼働しています(今後、さらに多くの工場に展開予定)。ソリューションの出力結果は、Dataikuの視覚的なダッシュボードで閲覧するほかに、スプレッドシートに書き出して、社内のさまざまなステークホルダーに手軽に共有することができます。

このDataikuプロジェクトは以下の入力データを受け取ります。

  • 各工場のリアルタイムのプロセスデータ(蒸気や電気の発生量、炭酸ナトリウムの生産量など)
  • 市場のスポットエネルギー価格(このデータは、同じデータを受け取るSolvayの他のDataikuプロジェクトの共有データベースから取得)
  • 具体的なエネルギー契約の履行(ガス、電力など)およびCO2排出係数と、その他の原材料コスト(石灰石、塩水、アンモニアなど)

ソリューションの構築にあたり、エネルギー技術チームはまず、工場のデータのなかから炭酸ナトリウムの変動コストとCO2排出量の算出に役立つパラメーターを特定し、計算式を作成しました。これをもとに、とくに重要なパラメーターを集めたダッシュボードを構築しました。1つの工場のベータ版ダッシュボードを開発するために要した工数は、わずか1人月でした。この手法の有効性が確認されてからは、最初のダッシュボードをDataiku内で複製し、少しカスタマイズを加えるだけで、他の工場にも簡単に展開することができました。

ビジネスバリュー

エネルギー技術チームがDataikuを利用して開発したソリューションと、業務部門とのコラボレーションによって、炭酸ナトリウム製造の全体的なコストに大きな影響を与えるパラメーターについての理解が深まります。この理解をもとに、運用コストを削減し、すばやい意思決定を下すことが可能になります。

このソリューションは短期間で大きな価値を証明したため、Solvayはすでにソリューションのさらなる改良と、より多くの工場への導入を決めています。さらに、ダッシュボードをシンプルにして効率化するとともに、履歴データにもとづく最適化モデルやベンチマークと実際のデータをリアルタイムに比較する機能を組み込む予定です。

SolvayはこのDataiku内に構築された複製可能なプロジェクトを通じて、さまざまな業務プロセスにAIを組み込むための準備を進めています。このプロジェクトは、同社のGROW戦略と並んで、事業の成長と持続可能なビジネスを推し進める基盤になっています。

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