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Heraeus: LLMで販売見込み客パイプラインを強化

Heraeusの事業会社20社はそれぞれ、見込み客の特定と選別に独自のプロセスを使用しています。HeraeusがどのようにDataikuの大規模言語モデル(LLM)を使用してこれらのプロセスを支援し、その結果、時間を節約して、販売転換率を高めたのか、ご紹介します。

60~70%

販売見込み客の特定の推定短縮時間

5週間

LLMユースケース構築に要した期間

 

生成AIの導入に関して、Heraeusは当初から次の2つを目標としていました。

  1. 事業会社内の多数のユーザーに安全な生成AIツールを提供すること
  2. ビジネスに価値をもたらす具体的なユースケースの特定と開発を前述の事業会社に促すこと

Heraeusデジタルハブのシニアデータアーキテクトを務めるRichard Kroegel氏と、コマーシャルエクセレンスマネージャーを務めるJannik Beers氏に、具体的なユースケースの1つとして、生成AIを活用した見込み客リスト生成ツールについて話を聞きました。Heraeusがこれを契機に、管理された環境で新しいテクノロジーをどのように試し、Heraeus内の他のユースケースをどのように特定して開発しているのかについても聞きました。

ユースケース:LLMを活用した販売見込み客の特定

Heraeusは多数の事業活動を展開しており、その対象顧客は高品質の専門分野に相当するため、それまでは潜在顧客を特定することが困難でした。Dataikuを導入する前は、販売見込み客の特定はごく非公式の極めて手動的なプロセスでした(Google検索やブレインストーミングなどで非常に時間がかかっていました)。そのため、目標は、特定の選択基準を使用してLLMでこのプロセスを自動化することでした。

チームは、「生成AIの創造性を活用して、新しい販売見込み客を創出できないか」と自問しました。答えは「できる」であることがわかりました。HeraeusはDataikuと連携して、販売見込み客の特定とファクトチェックを行うプロトタイプのユースケースを開発し、これに外部の知識を活用しました。このユースケースを選択したもう1つの理由がこうした外部の知識の活用です。データ要件は内部データや内部データと外部データの結び付きに依存せず、外部のデータと知識のみを利用するようにしました。その結果、次に製品を販売する場所などを決定するときにも、ターゲット市場の見込み客リストを繰り返し効率的に作成できるようになりました。

では、このユースケースは実際にどのように機能するのでしょうか?

  1. Heraeusのセールス担当者は、選択基準(例えば、特定の治療薬エンドマーケットで活動していて、特定地域に拠点を置いている企業など)と任意の自由回答形式の質問(例えば、この企業が開発した主な製品は何かなど)を入力します。次に、LLMを使用して、ユーザーが指定した選択基準を満たす販売見込み客(名前とホームページURL)を生成します。
  2. LLMが販売見込み客を提案し、次にCrunchbase APIを使用してプロジェクトに実装された自動チェックでこの見込み客を検索します。
  3. 出力を検証してLLMハルシネーションを防ぐために、Crunchbaseで特定された販売見込み客の選択基準は、Crunchbase、インターネット検索結果、会社のWebサイトを使用して自動的にダブルチェックされます。
  4. 補足質問は、インターネット検索結果と会社のWebサイトに基づいて回答されます。

ビジネスへの効果:60~70%の時間節約と見込み客の質の向上

以前の販売見込み客特定プロセスが非常に手動的で時間がかかっていたのに対し、DataikuのLLMを活用した新しいプロセスでは推定60~70%の時間が節約されました。Heraeusは、このツールを使わなければ特定できなかったターゲットを特定できるようになり、ユースケースの効率と結果の品質が向上しました。

Dataikuの自動化などの機能や、DataikuアプリケーションとWebアプリケーションを使用してエンドユーザー向けのインターフェースをすばやく展開できる機能を活用することにより、Heraeusは自動化について心配する必要がなく、ユースケースとLLMに集中できたため、非常に短い期間でユースケースを実現できました。最初の話し合いから導入までの期間は5週間でした。また、チームは責任あるAIも非常に重視し、誤った情報や古い情報のリスクを軽減し、検証には必ず人が従事するようにしました。

タイミングが早く、それは非常に重要でした。これほど短期間で実現できたのはDataikuのおかげであり、技術力の観点からも、Dataikuなしでは実現不可能だったでしょう。

-Jannik Beers氏、Heraeusコマーシャルエクセレンスマネージャー

さらに、Heraeus内の各事業会社は完全に独立して業務を行っています。それぞれの会社に独自の販売部門と独自の事業開発グループがあるため、市場や要件も異なります。LLMに厳密な構造を定義する必要はなく、入力に関してはある程度の柔軟性があったため、チームはLLMの解釈能力を利用しました。これまでのところ、このユースケースのエンドユーザー(販売部門と事業開発グループ)からの反応は非常に好意的です。

Dataikuとの仕事には常にオープンマインドな雰囲気があり、同僚たちがこの分野の真のエキスパートであることがよくわかりました。さらに、ソリューション構築のスピードはおのずから明らかでした。

-Jannik Beers氏、Heraeusコマーシャルエクセレンスマネージャー

AIの民主化の実践

2023年の初めに、コマーシャルエクセレンスチームは、AIを使用して販売とマーケティングのトピックを最適化するために、特定のユースケースをマッピングしました。このチームは、Heraeusのビジネスサイドで各事業会社をサポートし、最適化の可能性を活かしてベストプラクティスを展開するためのシンクタンクのような役割を果たしており、販売見込み客を特定するというユースケースにChatGPT(Dataikuの外部)を使用するテストを独自に開始しました。まず、いくつかのプロンプトを使用して自律的な実験を開始し、データサイエンティストの参加前にユースケースの実現可能性を事前評価することができました。

まもなく、技術力の限界により、望むような結果は得られないことがわかりました(単純なChatGPTではハルシネーションが最大の課題でした)。この時点で、コマーシャルエクセレンスチームはデジタルハブに協力を依頼し、デジタルハブチームはDataikuにこのユースケースの自動化と本番稼働化を依頼しました。従来の機械学習のユースケースでは、説明するのが難しい高度なモデルや科学的概念にチームが直面するため、この種の民主化とコラボレーションは困難になっていました。ここで、LLMがAIの民主化のための非常に強力な触媒の役割を果たします。LLMは汎用性が高く、ユースケースのさまざまな部分で使用できるため、チームの作業を加速させることができます。

将来性

Heraeusは今後数か月間でこのユースケースの範囲を広げ、その力を、事業開発チームのターゲットとなるステークホルダーの特定や、最初のアウトリーチメッセージの作成などへ拡大していきたいと考えています。Heraeusにとって、このユースケースは、顧客コミュニケーションの迅速化と効率化のまったく新しい機会の世界に扉を開くものです。Heraeusは、販売プロセスとマーケティングプロセスの効率化と、顧客サポートの質の向上のために、AIのユースケースを試すことに意欲的です。生成AIの将来について柔軟な考えを持ち、時間の節約による効率の向上や、より適格な判断を導くための情報の質の向上という目標を目指し続けています。

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