ENEOSマテリアルは、ゴムおよびエラストマーの研究、開発、製造における世界的リーダーとして、タイヤに使用される高性能ゴム材料の開発のみならず、顧客の要望に合わせた最適な材料配合の提案を行っています。
タイヤのゴム配合物は多種多様な材料から構成されるため、その配合プロセスは非常に複雑であり、長年の経験に基づく知見が重要となります。
しかし、最適なソリューションの探索に時間がかかるため、迅速な顧客対応が難しく、製品販売や採用機会の逸失が課題となっていました。
ENEOSマテリアルは顧客要件に即応できるような配合を提案するためのソリューションを必要としていました。
的確な配合計画で顧客ニーズに応える
ENEOSマテリアルの目標は、研究者の経験に依存せず、誰でも高精度な配合計画を提案できるシステムを設計することでした。また、組織内の複数のチームが容易に利用できるユーザーフレンドリーなシステムが求められていました。データ専門チームが不足している中、研究開発部門が自らシステム開発に取り組む必要がありました。
ENEOSマテリアルは、Dataikuとの連携により、多くの基盤課題を解決することができました。
- 初期のデータセットは、欠損値やスキーマの不一致といった問題を抱えており、直接的な機械学習モデルの構築には適していませんでした。そこで、Dataikuのツールと柔軟なビジュアルレシピを活用し、依存関係の視覚化とデータ前処理を実施することで、機械学習に適したデータセットを容易に構築できるようになりました。
- Dataiku上で利用可能な機械学習アルゴリズムや説明可能なAI機能を用い、モデルパフォーマンスの多角的な解釈が可能となり、コードを書かずに配合情報から配合物特性を予測する最適なモデルを開発。これにより、複雑な配合プロセスに対する理解が深まりました。
- DataikuでのコラボレーションやPythonレシピの活用により、多様なアルゴリズムと制約条件を検証。従来の経験に頼らず、多岐にわたる実現可能な配合条件を提案するアルゴリズムを開発し、従来にはない革新的な配合提案が実現しました。
- ユーザーフレンドリーなUI構築には、Dataikuのシナリオやアプリケーションを活用しました。その設計においては、現場でよく使われる用語や、用途に合わせた最適な配合計画など、ユーザーによるインプットが取り入れられました。
現在、ENEOSマテリアルは強力なデータサイエンス基盤をもとに、機械学習やAIの応用範囲をさらに拡大するため、さまざまなユースケースに取り組んでいます。
業務効率の向上と生産機会の増加
独自の機械学習ソリューション導入以降、データ前処理、分析、計画策定といった手作業が自動化され、業務効率が向上しました。データの準備や分析にかかる時間が大幅に短縮され、研究者は付加価値の高い業務に専念できるようになりました。さらにDevOpsを活用したモデル更新により、現場での運用が円滑に進んでいます。