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Frende Forsikring: 自然言語処理(NLP)を利用して保険金請求を自動化

Dataiku内で1万件のメールを学習させたBERTモデルを利用して、請求相談センターで受け付けたメールを適切な処理部門に転送するソリューションを実現しました。

98~99%

保険金請求依頼を適切な処理部門に転送する精度

55~75

1か月あたりの節約時間

 

ノルウェーの保険会社であるFrende Forsikringは、顧客の保険金請求手続きをシンプルにするために、請求受付のメールアドレスを一本化していました。しかし、同社には4つの請求処理部門があり、それぞれが建物、車両、法律、その他(ペット、旅行、コンテンツ)と異なる領域を担当していました。

そのため、受付担当者がメールの文面を読み、内容を解釈してから、適切な処理部門に手動で転送するという段階を踏んでいました。メールの件数が膨大であること、また非常に単調な作業であることから、同社のAI・機械学習チームは、これは自動化にぴったりのユースケースであると考えました。Frende ForsikringがDataikuを利用してこの機能をどのように実現し、その過程でロボティックプロセスオートメーション(RPA)チームとどのような共同作業を行ったかを詳しく見ていきましょう。

顧客の保険金請求手続きをシンプルに

Frende ForsikringのAI・機械学習チームは、受信メールの内容に合致する処理部門を正しく予想させるために、BERTモデルに1万件のメールを学習させました。このモデルは非常に精度が高く、全受信メールの98~99%について、正しい処理部門を予想することができました。現在では、請求相談センターで受け付けたすべてのメールにこのモデルを適用し、どの処理部門に転送すべきかを自動判定しています。処理部門がその請求依頼を担当外と判断した場合には、別の部門に回すことも可能です。

トレーニング済みのBERTモデルは、トークナイザー(Tokenizer)と共にDataikuにアップロードされています。また、同チームはDataikuのライブラリを利用して、メールの添付ファイル(PDFファイル、Word文書、テキストの画像など)をデジタルテキストに変換してメール本文に結合させる機能を開発しました。これらの機能はすべて、Dataiku APIデザイナーで作成したAPIに組み込まれています。メール転送を実行するデジタルロボットがメールと添付ファイルをAPIに引き渡すと、そのメールにふさわしい転送先と予想確度が返されます。

さらに同チームは、Dataikuとデータウェアハウスの容易な連携を利用して、メール送信者が同社の顧客であるかどうかと、請求番号がすでにある場合はその番号を確認する機能を開発しました。顧客であると判定された場合は、その顧客のまだ処理が完了していないすべての請求依頼を見ることができます。この自動化機能は、メールの自動応答やスパム対応にも役立っています。余計なメールが転送されてこないので、処理部門にとってはさらに時間の節約になります。

必ず人間がチェック

Frende Forsikringがとくに重視していたのは、人間参加型(Human-in-the-Loop)にすること、つまり人間による確認を入れて、モデルを改良していくことです。各処理部門に手動で転送されたメールはすべて、ロボットによって保管されます。そのなかから、とくに判断の難しいメールが選ばれて、BERTモデルのトレーニングに使われます。

これにより、すでに高い精度を持っているモデルが、時間と共にさらに強化されます。APIからの応答はすべて記録され、関連するステークホルダーがダッシュボード内で参照できます。このソリューションの実現には高度な連携が必要で、さまざまな技術とプロセスが関係してくるため、AI・機械学習チームとRPAチームから1人ずつが開発に加わりました。この連携が可能になったのも、DataikuやBlue Prism(RPAツール)のような堅牢で合理的なプラットフォームがあればこそです。

数百時間を節約

この高度に自動化されたプロセスは、1か月あたり55~75時間の節約を実現します。これにより、もっと複雑な、自動化向きでない作業に時間を割くことが可能になります。このプロセスは拡張可能であるため、Frende Forsikringが今後もっと成長し、メールの件数がさらに増えたとしても、わずかな時間で処理を完了できます。また、この機能のおかげで、メールを処理し忘れたり、長く放置したりするリスクを回避することができ、応答時間の短縮や、全体的な顧客体験の向上を期待できます。

このプロジェクトは、Dataiku内でAIとロボットを組み合わせて利用するユースケースの準備段階でもあります。Dataikuは既存プロジェクトの再利用や修正を想定した設計になっているため、Frende Forsikringのチームはこのテクノロジーを他の領域にも実装しています。同チームは合計7つのDataiku APIを展開し、ロボットがこれらのAPIを利用して、処理の自動化や、顧客情報を使ったデータ補強を行えるようにしています。

Dataikuを利用することで、Frende Forsikringの少人数のAI・機械学習チームでも、非常に効率よく作業を進め、比較的短い時間で高度なソリューションを実現することができました。自動化と価値実現の様子をモニタリングし、情報共有することも、ダッシュボードを通じて手軽に実行できるようになりました。この透明性が高く、説明のしやすいワークフローと成果のおかげで、リーダー層からも、自動化の影響を受ける従業員からも、同意と理解を簡単に得ることができました。

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Everyday AI London Roadshow 2023で、このユースケースについて語るFrende ForsikringのAnders Dræge氏

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