SLBとDataikuのユースケース
SLBは、Dataikuとのパートナーシップにより、検層の解析と処理、断層解析、掘削時間の短縮、人材管理の最適化などのユースケースで改善を推進し、数百万ドルを節約できました。ここでは、技術専門家、データ専門家、あるいはその中間など、SLBのあらゆる人の日常業務の意思決定にデータとAIを活用している事例の一部を紹介します。
坑井掘削の入札金額算出を8時間から20分に短縮
SLBが事業者に提供する主な総合坑井建設サービスのひとつに、「一括請負ターンキー」の坑井建設があります。これは固定費用で顧客に坑井を提供するサービスです。このサービスではSLBが負う坑井掘削リスクの割合が大きいため、競争力のある価格を顧客に提示しながら利益も出せるように、適切な入札金額を決定することが重要です。
掘削費用を決定するには、まず工程を手作業で分類し、次に主要業績評価指標を算出し、最後に入札案件の坑井ごとに操業手順を構成して関連リスクを予測します。
主な課題として次ものがあります。
- データが非構造化レポート(日次掘削報告書、DDR)に保存されていることが多い
- 入札期間は極めて短いため、迅速な対応が必要となる
スケーラビリティとスピードに関するこれらの課題に加え、坑井エンジニアの無意識のバイアスによるヒューマンエラーに起因する正確性の問題もあるため、以前はSLBのエンジニアが掘削の見積もりを出すまで約8時間かかっていました。
SLBはDataikuと共同でデータドリブンのアプローチを開発しました。この手法はこれまでに100億ドル以上の坑井掘削入札の見積もりに使われ、エンジニアはこれまでと同じ分析をわずか20分で行えるようになりました。さらに、新しいプロセスでは、入札で定義された工事範囲の坑井掘削に要する時間の予測に、構造化された監査可能なデータドリブンアプローチを採用しています。
貯留層圧力解析を76%効率化
貯留層圧力は、新しい坑井の掘削提案、改修、貯留層および生産エンジニアリング分析など、さまざまな分析に不可欠なデータです。
SLBの制御が及ばない事象の発生によって石油生産操業が中断された場合(坑井のシャットダウンや生産フローラインの断裂など)、SLBは坑井ごとに分析を行い、遮断事象および安定圧力の開始と終了を特定し、貯留層圧力データを取得します。
この分析には少なくとも1週間を要します。エンジニアが分析対象データの概要を確認できるような一般的な可視化ダッシュボードもなかったため、このプロセスの効率を上げることができませんでした。
チームは、データセット、レシピ、プログラミングを組み合わせたDataikuの効率的なワークフローを使用して、安定圧力の特定と収集のプロセスを自動化する貯留槽圧力検出ツールを開発しました。このツールは使用することで、Spotfireで結果を簡単に可視化することもできるようになり、坑井ごとの月間圧力トレンドを分析するプロセスが76%高速化されました。
Dataikuで人材管理プロセスを最適化
SLBにおけるDataikuの活用は、中核事業部門にとどまらず、人事(HR)などの補助部門にも広がっています。
例えば、SLBのピープルアナリティクスチームは、Dataikuを活用して、世界各地の人材管理チームの支援を強化しており、研修に費やす時間を数か月、数年単位で短縮し、人材の定着率を向上させています(これにより、年間数百万ドルを節約しています)。
具体的には次のような方法で効果をもたらしています。SLBは、他の現代の企業と同様に、従業員の定着率向上に力を入れています。チームはDataikuを活用して膨大なデータ(給与情報、休暇データ、業績、キャリア停滞情報など)からデータパイプラインを構築し、リスクにさらされている人材について社内の人材マネジャーに通知することで、可能な限り早く効果的な対策を講じることができるようにしました。また、給与、スキル、スケジュールの変更など、従業員の環境を改善する方法に関するインサイトも人材マネジャーに提供しています。
SLBでは毎年、予定外の従業員離職に8,000万ドルから2億ドルのコストがかかっていますが、ピープルアナリティクスチームがDataikuの予測モデルを活用し、特定された価値の高い従業員の維持に取り組んだ結果、そのうちの1,800万ドルから4,500万ドルを節約できました。
また、SLBのD&I(デジタルおよびインテグレーション)HRチームは、DataikuとPowerBIを使用してSkills2Careerダッシュボードを開発しました。これによって、人材獲得モデルを外部採用から社内スキルアップに転換し、求人活動と外部採用にかかる費用を数十万ドル削減しました。